式場側が課す意味不明な「撮影制限」について
 お客様が当事務所に相談されることのトップが、式場側が理不尽に課す、「外部カメラマンへの制限」です。 

「式場内は撮影禁止です」「外部カメラマンは困ります」「持ち込み料をいただきます」など、専属カメラマン以外の撮影を制限しようとする式場がいまだにたくさんあります。「飲み物の持ち込み料さえ取らない」といった、持ち込み大歓迎のホテルまで現れている今、写真撮影に制限を課すなど時代錯誤です。

 ”理不尽”といったのは、理由に正当性がないからです。
「美容室には他のお客様もいらっしゃいます。男性のカメラマンが入ってこられては迷惑です。ですから、メイクシーンは撮影できません」 これなら納得できます。
 しかし、「挙式場への立ち入りは禁止です。理由は、雰囲気を壊すからです」というのは笑止千万、まったく理解できません。専属カメラマンはOKで、外部カメラマンはNGというのは、「雰囲気を壊すから」という理由と矛盾します。

 実は、専属カメラマンというのは、「バージンロード内以外は自由に動き回れる」ということから、「目立つ場所に立つ」とか「お客様のジャマになる」とか、多いんです。また、最高級プロ用カメラというのは、これはシャッター音が非常にうるさいです。スタジオ内などで、いかにも「写真を撮っているぞ」と目立たせるためにわざとうるさいシャッター音をさせるようになっています。
 専属カメラマンの中には、新郎新婦の「誓いの言葉」の発声の瞬間にシャッターを切る人もいますが、これをやると、大事な言葉がかき消されてしまいます。当事務所では、そういうことはしません。発声の直後にシャッターを切るように、気を使っています。
 このように、「実際は、専属カメラマンのほうが、挙式場の雰囲気を壊すことをしているのではないか?」と思われます。

 一例をあげますと。横浜で有名なRホテルの専属業者カメラマンは、つい最近まで、フィルム式カメラでスナップを撮っていたのですが、そのカメラマンの行動にはほんと驚かされました。静寂が必要な教会挙式の最中に、彼は、なんと、「フィルム交換」を行ないました。プロ用のカメラのフィルム交換は、巻き戻しに際して、すごい大きなモーター音がします。ですから、この業界では、「挙式の最中には絶対にフィルム交換をしない」というのが原則です。そのために、挙式の撮影の前には、フィルムを交換しておき、新フィルムに変えておいて、36枚全部を撮れるように準備をしておきます。万一、フィルム交換が必要な事態になった際は、苦肉の策ととして、「巻き戻し中は、カメラバッグの中に入れて、モーター音が極力しないように消音する」といった方法をとり、少しでも、お客様に迷惑をかけないようにします。
 ところが、その専属カメラマン氏は、カメラを裸の状態で巻き戻しをしました。当然、すごい音が教会内に響き渡り、列席のお客様たちは「何が起きたんだ」と不思議な顔をしましたが、彼は平気な顔をしていました。おまけに、彼は、巻き戻してカメラから取り出したフィルムを、なんと、落としました。それも、バージンロード上に。そして、彼はバージンロードに入り込み、フィルムを拾いました。
 また、彼は祭壇の上にも上り、新郎新婦のすぐ近くから撮影していましたが、これも、列席の皆さんから見れば、「ジャマだ」ということになります。
 これが、一流結婚式場の専属カメラマンの実態です。要するに、「挙式の荘厳な雰囲気の維持」のことなんか、全然考えていないということです。 

 ”新郎の親戚”などといった素人カメラマンさんの場合、「ピントが合った時に発するピピっという音をさせる」「バージンロードの中に入ってまで撮影する」といった傍若無人のはた迷惑な撮影をする人がいます。たしかにこれは「雰囲気を壊す」にあたります。
 しかし、当事務所の場合、「いろいろな場所で撮影した経験を持つベテランカメラマン」「神前式も教会式も、どこも同じような進行のため、初めての会場でも特に戸惑うことはない」「カメラはデジタル式で作動音は小さい」「デジタルだからフィルム交換なし。当然、巻き戻しは不要」「挙式の場合は、目立たないように、小型の機材を使う」「カメラを構える時以外は後方に下がっているか、しゃがんでいる」など、最大限の配慮をして撮影にあたります。また、当然、ジーパンなどの服装ではない、地味なスーツを着て、静かにしています。おしゃべりもしません。バージンロードに入り込むようなこともしません。
 このように、専属プロが撮るよりも、雰囲気を壊さないはずです。ですから、「雰囲気を壊すから撮影禁止」というのは理由にならないのです。
 そして、
本物の教会や神社では、「ご自由にお撮り下さい。ご両家の喜ぶような写真を撮ってください」と言われることがよくあります。最も厳粛であるべき、本物の教会のほうが、撮影制限がなく、新郎新婦のことを考えてくれています。


(東京の某プロテスタント教会。牧師様から、「新郎新婦のために、いろんな角度からいっぱい撮ってください」と言われました。)


 また、スナップ写真撮影の過去の歴史を考えると、以下のようなことが言えます。

 よく、撮影に行った結婚式場で、「持ち込みさんですか?」と、そこのスタッフに聞かれます。私は、ひねくれオヤジなので「いいえ。●●さんに頼まれた専属カメラマンです」と答えます。すると、聞いたスタッフはきょとんとします。
 なんか、今は、「(式場の手配ではなく)新郎新婦が直接見つけてきたカメラマンが撮影する」ことを「持ち込む」と言う様になりましたが、私の考えでは、本当はそれは逆です。

 わかりやすく例えてみましょう。

 スイミングプールで泳ぐとき、水着はどうしますか?
 当然、自分の水着を持っていくと思います。プール施設側で用意した水着など着ませんよね。それを「水着の持込」とかいいませんよね?
まして、「水着の持ち込みはお断りです」「持ち込み料をとります」なんてプールは聞いたことがありません。サマーランドでそんなことをやったら暴動がおきるかもしれません。
 昔(30年以上前)、結婚式場では、写真室のスタジオで記念写真は撮りましたが、スナップ写真は、親戚や友人が撮るのが普通でした。司会者も同様で、「友人」とか「親戚」がやるのが一般的でした。「プロに任せる」というのは、少数派だったのです。このため、書店には、「結婚式の司会のやり方」とか「結婚式の写真の撮り方」といったマニュアル本がたくさん並んでいました。素人カメラマンが、これを買って読み、実戦に臨んでいたのです。
 写真室のプロカメラマンはスタジオの写真だけで、じゅうぶん利益があったから、スナップをプロが撮る必要はなかったのです。私も、高校生の頃に、親戚の結婚式で、2回ほど、スナップ写真を撮影しています。

 昔は、スタジオで撮影した、「親族集合写真」と「新郎新婦のツーショット写真」を「2枚で1組のアルバム」(お色直しの写真も含めて、3枚の場合もあり)にして、出席親族全員に焼き増ししましたから(夫婦とか家族は1組単位で配布)、スタジオ写真だけで、多額の出費でした。
 これが徐々にスナップも「プロに任せる」比率が高くなってきました。顕著な傾向が現れたのは、やはり、「バブル崩壊」でしょうか? 親戚に配る焼き増しが、バブル崩壊時、急激に減少しました。スタジオ写真の焼き増しで儲けられなくなった写真室は「スナップで儲けよう」とシフトチェンジしました。その後、「スナップもプロに頼むのが当たり前」という時代になっていったのです。(と、経験年数だけは長い私は分析しています)

さて、こうやって歴史を考えると。

 親戚や友人が撮影するのが当たり前だったスナップ写真。そこに、式場は「うちで契約しているプロカメラマンを使ってはどうですか?」と「新郎新婦が主役で催行しているイベントに式場側が、プロカメラマンを持ち込んできた」わけです。
つまり、「式場専属のカメラマン」こそ、「持ち込みカメラマン」なんです。新郎新婦直接ではない、式場がつれてくるカメラマンこそ、「外注」なんです。ですから、われわれ「新郎新婦の専属カメラマン」は、「持ち込みカメラマン」ではなく、持ち込み料なんかも、無意味な規制なども、不要なはずなんですが、なぜか、現実はおかしなことになってます。

 本来の姿に戻って欲しいと強く思います。

 こういった過去の歴史を説明しても、式場側がクビを縦に振らないような「サービス業失格業者」の場合は、せめて、教会式のリハーサル風景だけでも撮影させてもらえるように交渉してみて下さい。きちんとリハーサルをやるような式場だと、わりといい絵が撮れることがあります。もちろん、本番ではないので、「雰囲気がどうのこうの」と注意されるような次元ではありません。「主役」「お客」は新郎新婦なのであって、式場は主役でありません。裏方が「雰囲気を壊すからだめ」と勝手に判断してはいけません。主役がOKといえば、それでOKなんです。政治家がホテルで講演する時に、会場スタッフが「小泉さん、あなたの演説は、このホテルの雰囲気を壊すからやめてくれ」なんていいますか? 結婚式だけに関しては、客より会場側のほうがえばるなんて、不思議な世界です。

<追記>
法律の専門家団体が、「結婚式場が課す持込制限や持込料は、独占禁止法に違反する可能性が極めて高い」という見解を表明したそうです。おそらく、誰かが裁判を起こせば、式場側は負けるでしょう。ただ、お祝い事で、かつ、多額の費用がかかる裁判を起こす人はいません。とはいえ、最近の傾向として、「違法行為である」ことを認識しているのか、式場側は、「持込料」のことは口に出さずに、「カメラマンもゲストとして席を設ければ、自由に撮影してもらって構いません」という提案をしてくるようになりました。席を設けるということは料理も出しますから、それで利益が生まれ、持ち込み料を取るのと同じように会場側の収益になります。この方法ですと、合法的なように装うことができますから、これを採用する式場が増えているようです。しかし、カメラマンは料理を食べる時間などありません。たいていの料理は手をつけられることなく廃棄になります。そういう「地球に厳しいこと」はやめて欲しいです。自由に撮影させて、それで新郎新婦に喜んでもらおう、と、なぜ考えないのか? 不思議でしょうがないです。


<追記2>「かさこさんのブログ」
http://kasakoblog.exblog.jp/20940978/

こういうブログを発見しました。婚礼の分野ではない、別の分野のプロカメラマンさんです。
ひととおり読ませていただいて、「うん うん」と、宝くじのCMの香取慎吾君みたいに、うなづいてしまいました。
ほんと、普通の人から見たら、「婚礼業界」って、異常なのかもしれません。

「写真の納品になんで1ケ月もかかるの?」
おっしゃるとおりです。長すぎますよね。ですから、当事務所は、「撮影後4日以内に発送」となっています。

「記念撮影業界のあまりにも顧客無視、時代無視、前近代的なやり方は、いい加減、どうにかした方がいいのではないかと思っている」
はい、私も至極同感です。

「ただ結婚式は儲けるためにいろいろな罠を仕掛けている。例えばよくあるのは「チャペル内では式場の指定カメラマン以外は撮影禁止」とかだ。一億総カメラマン時代にそんな嫌がらせするなよと思う」
ほんと、おかしいですよねえ。

「表向き上は「神聖な場所だから」とかいいながら、実は神聖うんぬんではなく、式場が儲けるためでは? と思ってしまうところもある」
はい、正解です。式場が儲けるために、「神聖」という言葉を利用しているだけです。儲けることは悪いことではありませんが、詭弁を弄していいわけではありません。それでは「詐欺」になってしまいます。

「多少お金を払ってでも、式場に割高な値段を払ってでも、(式場専属業者に)撮影をお願いした方がいい。ただその撮影がデータだと異様に割高になるとか、プリントに1カ月かかるとか、それはあまりにもアホらしい」
データを渡さない業者、まだたくさんありますねえ。当事務所は、事業開始当時から、「データ渡し」専門です。アルバム作成も強制しません。

「基本プリントで、データをあげないかというと、これも結局はフィルム時代の名残りを引きずっているだけ」
そのとおりです。

「データを渡さず、プリントで稼ごうなんて、そんなせこいことやってどうすんの?」
ほんと、セコイ根性ですね。

「結婚式でも記念撮影でもそうだけど、相当何枚も撮影している。でも渡すのは1カットのプリントだけが基本。でも当人たちにとったら、いろんな写真見たいじゃないですか。」
はい。ですから、当事務所では、NGカット以外、全部の写真を納品しています。

「そうしないのは、客が喜ぶために何をするかって視点ではなく、フィルム時代の名残りを引きずり、意味のないサービス提供方式になっているのに、この名残りをいかしておけば、儲けになるからだという、完全、顧客無視の視点でいるからだ」
そのとおりです。結婚式場側はお客様のことを考えていません。ですから当事務所は、お客様の立場になって考え、安価な料金で、すべてのデータを、すばやく納品します。

「最近ではデータを販売してくれるところもある。でもかなり割高な料金設定になっている。基本プリントに誘導して焼き増しで儲けようという腹だからだ」
当事務所は、データ納品で、39000円という格安料金です。焼き増しはお客様自身にお任せしています。

「「あそこの式場は参列者撮影自由だし、式場のカメラマンに頼んでもデータで即日全部くれるみたいよ!」って評判がたった方がいいと思うのだが。」
ほんと、そのとおりで、なんで、経営者がそういうふうに考えないのかが、不思議でしょうがないです。

「業界がぐるになって、客のためになるサービスをあえてしないというのが、非常に多い気がする」
はい、非常に多いです。

「こんなバカげた風習にとらわれず、データをスピーディーにリーズナブルな値段で、提供してくれるところも増えているとは思うが。」
はい、うちはずっと、そのやりかたで、多くのお客様に喜んでいただいています。

そういうわけで、ほんと、この方のおっしゃることには、「同感」ばかりです。
この「婚礼写真業界」の悪弊(特に式場の専属である業者)というのは、ほんとひどくて、抜本的な改革が必要だと私も思います。

他分野のカメラマンに、こんなことを書かれるのを恥だと認識して、体質を変わって欲しいものです。